2012年5月17日木曜日

Car Watch 高橋敏也の新型「プリウス」買ってみた長期レビュー


 リコール対策も終わり、我が家の新型プリウスは相変わらず好調である。ちなみに対策といってもプログラムの書き換えだけであり(大変重要なことではあるが)、大きな変化があった訳ではない。しかし、個人的な印象だと、プラシーボ効果かもしれないが、ブレーキの効きが若干よくなったような気がする。回生ブレーキと油圧ブレーキの境目が滑らかになったような印象も持っている。

 前回も書いたことだが、幸いなことに私個人に関して言えばブレーキが効かないといった現象に出会ったことはない。だからといってそういった現象が起こらないと言うつもりもない。ただ一つだけ言えることはメーカー、ドライバーともに「安全・安心」への関心を失ってはいけないということだ。事の善し悪しではなく、今回の件はそのいい教訓となったのではないだろうか。

 それはそれとして最近、新型プリウスに対する友人・知人たちの質問が変化した。以前は「燃費は? ラゲッジスペースは?」と真っ先に聞かれたのだが、最近だと「リコールは? ブレーキ効かなくなったことある?」と聞かれるのだ。苦笑いを浮かべつつ、事実を答えているのだが、同時に今回の件に対する関心の高さを思い知らされる。まあ、「SAIはどうよ、SAIは?」と私に聞かれても、ほんの数kmしか試乗してないんだから、分からないって。自分で試乗して、その感触を確かめてくださいな。

 前振りはここまで、まずは燃費の話である。新型プリウスの場合、どうしても話がエコ、そして燃費に向いてしまう。1.8リッターのエンジンなのに、2.4リッターエンジン並みのトルクを誇り、抜群のスタートダッシュを見せるとか、そういったことはあまり話題にならない。走行モードをパワーモードに切り替えれば、機敏な走行感覚を得られるし、少なくとも私のGツーリンググレードはサスペンションもしっかりしている。まあ、スポーツタイプのクルマほどではないのだが。

 それでも燃費の話が先に来るのが、新型プリウスの宿命である。かくいう私も気がつけば燃費、燃費と言っている訳で、それではあまりに新型プリウスが可哀想である。特に寒い季節に入ってヒーターを利用するようになり、燃費がわるくなってからは「なぜだ、なぜだ」と妙に悩んでしまった。だが、よく考えてみると燃費が16km/L前後だったとしても、私個人に限って言えば大変な進歩である。なにしろ以前の車両では、7km/Lあたりをうろうろしていたのだから。

 1人(1家族)が乗用車を運転する際の燃料消費(レギュラーとハイオクの違いはあるが)を、新型プリウスに乗り換えるだけで半分にすることができた。これ以上、何を望むというのか? 実は最近、燃費の悪化をストレスに感じていたのだが、それこそまさに考えすぎ。燃費は新型プリウスにとってトピックの一つだが、それ以上のものではない。燃費の向上は新型プリウスに任せて、私は私自身が快適だと感じ、周囲に迷惑をかけない運転をすればいいだけなのだ。

 もう燃費なんて気にしないで、楽しく運転しようじゃないか……と行かないのが世の中である。別の視点から見れば「燃費がいいのは気持ちがいい」ということもある。要するにあれですな、バランスの問題ということですな。平常心で安全運転、そして燃費のよさを楽しむ。目をつり上げて燃費、燃費では運転も楽しくないということだ……。

燃費、回復傾向か?
 よし! これだけ言い訳しておけば、燃費データが多少わるくても許してもらえるだろう。そんな訳で最近の燃費データである。


ブレーキサービスは何ですか?
給油日 走行距離 給油量 給油金額 燃費 備考
2009年6月16日 38.66L 4601円 初回のため燃費算出せず
2009年6月26日 355.5km 20.41L 2510円 17.4km/L  
2009年6月26日 223.2km 10.16L 1250円 22.0km/L  
2009年7月19日 663.7km 39.59L 4553円 16.8km/L  
2009年8月15日 658.3km 36.17L 4485円 18.2km/L  
2009年9月9日 692.4km 38.71L 4955円 17.9km/L  
2009年10月5日 713.6km 38.16L 4656円 18.7km/L  
2009年10月17日 369.7km 23.13L 2776円 16.0km/L  
2009年11月8日 630.9km 37.79L 4610円 16.7km/L  
2009年11月26日 625.7km 38.64L 4637円 16.2km/L  
2009年12月17日 570.1km 38.38L 4567円 14.9km/L  
2010年1月8日 546.7km 37.8L 4460円 14.5km/L  
2010年1月10日 51.5km 3.37L 394円 15.3km/L  
2010年1月10日 152.0km 7.36L 868円 20.7km/L 横須賀エコドライブ
2010年2月3日 619.7km 38.83L 4931円 16.0km/L  
2010年2月27日 544.5km 37L 4921円 14.7km/L 謎のデータ
2010年3月16日 641.4km 38.93L 4944円 16.
トヨタ宇宙、リトルフォールズ
5km/L
 

 ちなみに2010年2月27日のデータは、除外して考えてほしい。というのも私がトリップメーターの数字を間違えて記録したか、はたまた別の理由なのか、おかしなデータとなってしまったからだ。インジケーターの燃費表示からもかけ離れているし、どうもあてにならない。で、それを除いて考えると、ここ最近は16km/L前後の燃費と考えてよさそうだ。

 年末年始から比較すると決してわるくない数字だが、逆にここ最近はエコドライブにかなり注意を払っていた。それでもこの程度というのは、多少がっかりなデータである。だが、友人知人と話をしているうちに、燃費が向上しない理由がなんとなく見えてきた。もちろん燃費が向上しない第一の理由はヒーターの多用だが、ほかに考えられることが一つある。

 年始から3月末に向けて都内、特に私の通勤ルートは道路工事真っ盛りなのである。毎年恒例、「年度末」に向けて盛り上がる怒濤の工事ラッシュという訳だ。あっちで片側通行、こっちで片側通行、システムONのまま停車している時間も長くなる。渋滞が発生してストップ&ゴーも多くなる。さらに片側通行などでは、周囲にあわせた加速が求められる。これらが燃費にいいはずもない。

 なお、私の通勤ルートは片道17km前後、行きはほとんど直行するが、帰りは夕食や買い物で寄り道をするので、合計約30kmの往復だ。実は興味深いデータが1つあって、往路では86機ほど、復路になると100機以上の信号を通過するのである。復路で信号が増えるのは、もちろん寄り道の結果なのだが。年に数回、信じられないほど運がいい日には、結構な数の信号を青でスルーできる。しかし、この信号の多さもストップ&ゴーを増やす要因だ。

 林立する信号機、そして怒濤の工事ラッシュ、隣に「寒いじゃ!」と言いながらエアコンの設定温度をポチポチ上げるポニョ嫁(本当に寒いときは28℃がデフォ)。とりあえずこれだけ燃費向上を阻害する要素が揃っている中で、16km/Lは頑張った結果なのか、それとも努力が足りないのか? で、この「いいか、わるいか」という考え方を、私は捨てようと思った。なぜなら快適で安全に移動するのが、乗用車本来の役割だからだ。そしてそのために私は、新型プリウスに投資(笑)した訳である。

 ハイオクで1Lあたり7kmの燃費が、新型プリウスの登場でレギュラー1Lあたり16km走ることができる。個人的には信じられないほどの大躍進ではないか。しかしそれを理解した上で、さらに燃費がよくなれば万々歳。ならば楽しみながら、燃費を追求したい。そんなことを考えつつ、あれこれ探した結果見つけたのが「燃費マネージャー」である。

「燃費マネージャー」の取り付け
 燃費をもっと楽しみたい。いや、楽しく燃費を向上させたい。もちろん新型プリウスには燃費データを確認するための、さまざまな機能が搭載されている。速度表示の左にある瞬間燃費計から始まって、ハイブリッドシステムインジケーターの平均燃費表示、そして1分間/5分間燃費表示。また、ナビゲーションシステムを選べば、燃費に関するアドバイスまでシステムが表示してくれる(HDDナビゲーションシステム&プリウス・スーパーライブサウンドシステムの場合)。

 しかし、さらに燃費状況を詳しく知りたいと思って導入に踏み切ったのが、テクトムから販売されている「燃費マネージャー(FCM-2000W)」だ。新型プリウスに対応していることは当然として、一般のドライバーが比較的簡単に取り付けられ、分かりやすく燃費の状況を表示してくれる。これらの条件を満たすのが、燃費マネージャーだったのである。


RVディーラースーフォールズ

 燃費マネージャーの中がどうなっているはあずかり知らぬことだが、その原理はちゃんとマニュアルで解説されている。燃費マネージャーは診断用コネクターに接続し、ECU(エンジンコントロールユニット)からデータを取得し、燃費データを含むさまざまな表示を行う。ここで注目したいのは、バックライト付きの大型液晶で表示される「瞬間燃費」と「平均燃費」なのだ。

 さて、善は急げと燃費マネージャーの取り付けである。先ほども書いたとおり、燃費マネージャーは診断用コネクターからECUのデータを取得する。このため基本的には、新型プリウスの診断用コネクターに燃費マネージャーを接続すれば、それで作業終了……という訳ではない。2つほど重要なことがある。「燃費マネージャーの設置と配線」、そして「外部起動」の接続である。

 まず「外部起動」だが、これはハイブリッド車や「エンジン始動時の電圧降下が使用できない車両」へ燃費マネージャーを搭載する時に必要となる。要するに燃費マネージャーの起動は、エンジン始動時の「電圧降下」を利用している。従ってそれが認識できないハイブリッド車などの車両では別の方法、すなわち「外部起動」を使用するのである。といってもさほど難しく考える必要はない。イグニッションをONにした際、電源が通るラインと燃費マネージャーを接続すればいいのだ。

 燃費マネージャーにはエレクトロタップとケーブルが付属しており、イグニッションに連動したラインと比較的簡単に接続できる。だが、新型プリウスの場合は配線もかなり複雑になっている。システムONに連動したラインを見つけ出してエレクトロタップで接続すればいいのだろうが、それよりもっと簡単な方法がある。それが「電源取り出しコード付き平型ヒューズ」の使用だ。新型プリウスのヒューズボックスから電源を確保し、それを外部起動に使用するのである。

 コード付きの平型ヒューズは燃費マネージャーに付属していないので、別途カー用品店などで購入する必要がある。また、配線のためのケーブル、キボシ端子なども用意しなくてはならない。当然、配線作業も必要だが、はっきり言って難しい作業ではない。キボシ端子の扱いには多少なりとも予備知識が必要となるが、ほかにも方法はある。カー用品店でコード付きの平型ヒューズを購入する際に、店員さんへ相談してみるといい。

 私の場合、オートバイの配線などでギボシ端子の扱いには慣れている。そこで近所のカー用品店へ行き、電源取り出しコード付き平型ヒューズというのを探してみた。ちなみに新型プリウスのヒューズは、コンパクトな「低背ヒューズ」というタイプらしい(事前にヒューズボックスを開けて調べた)。目的のものがあっさり見つかったので、とりあえず10Aタイプと、15Aタイプの2つを購入した。ほかにケーブル(工具箱に入ってるとは思うが念のため)や配線を固定するためのクリップなどを購入する。

 電源を取り出すヒューズだが、新型プリウスはエンジンルームと助手席足下の2カ所にヒューズボックスがある。エンジンルームから配線を取り回すのは大変なので、助手席足下のヒューズボックスがターゲットである。ところがそのヒューズボックスが、結構奥にあったりして大変だ。グローブボックス下のカバーを取り外し、中を覗いてみる。すると奥ゆかしくヒューズボックスが隠れているのだ。決して小さいとは言えない身体と頭を助手席の下に入り込ませ、ボックスを開けてヒューズにアクセス。問題はどのヒューズを、コード付き平型ヒューズと交換するかである。


 助手席足下のヒューズボックスにはアクセサリーソケットのヒューズから、パワーウィンドーのヒューズまで、実にさまざまな目的のヒューズがある。これらのうち燃費マネージャーへはイグニッションと連動したもの、新型プリウスの場合はシステムONと連動したものを選ばなくてはならない。そこで私の場合は10Aの「ECU-IG NO.1」、メインボディーECUのヒューズを選んでみた。理由は簡単、「ECU」と表記されていたので、たぶんシステムONと連動しているだろうと推測したのである。

 ヒューズを交換したら、そのケーブルを運転席側まで配線し、ギボシ端子を使って燃費マネージャーの外部起動コネクタと接続する。試しにシステムをONにし、燃費マネージャーが正常に起動することを確認する。起動が確認できたら、後はケーブルが邪魔にならないようにさばき、燃費マネージャー本体を設置すれば第1段階の作業は終了である。こうした部品を取り付けるときは、ぜひ見た目、すなわちケーブルの取り回しをしっかり行いたい。これがオートバイだったら……とかのグチは言わないことにしよう。

 多少配線の取り回しは気になるが(このあたりは経験が必要だろう)、じゃまにならないように、なおかつ表示が見やすいように設置することができた。だが、先ほど第1段階と書いたが、燃費マネージャーを活用するには、もう1つ作業が残っている。それが初期設定と補正作業である。

 初期設定に関しては、取り付けるクルマのメーカーを選ぶだけである。ちなみに付属のリーフレットに「プリウスの場合はTSP1を選ぶと、燃費精度が高まる場合があります」とあったので、私は「TSP1」に設定した。問題は補正作業のほうだ。燃費マネージャーはECUのデータを元に、燃費などを計算して表示する。そして燃費マネージャーの使用する燃料消費のデータは「量」でなく、インジェクターが「何秒燃料を吐出したか」という時間なのである。インジェクターは車両や年式によって、燃料の吐出量が異なる。このため実際にどれぐらいの量が吐出されたか(消費されたか)は、設定しなくてはならないのだ。これを「補正作業」と呼ぶのである。

 補正作業は実際の給油量と走行距離を入力する「実値入力」か、用意されている数値を入力する「係数入力」で行う。テクトムのサイトには、各社各車種の係数が用意されているので、それを入力すれば準備完了となる。私の場合は「実値入力」を行うことにした。簡単にこの流れを説明すると新たに取り付けた段階で、満タンに給油をし、トリップメーターと燃費マネージャーの積算値をクリアする。それから200〜300km程度走ってから給油を行う。この際の給油量と走行距離を燃費マネージャーに入力し、燃費マネージャーの積算値をクリアする。これで補正作業が終了する。

 現在、燃費マネージャーの補正作業中である。燃費マネージャーでどういったデータが表示できるのか、そして使い勝手などは補正作業が終わる次回にお届けする。なお、今回の私の作業で燃費マネージャーは正常に動作している。しかし、ヒューズボックスのヒューズを交換したり、配線などの作業を行ったりしなければならない。重要な部分にかかわることになるので、自信のない人は燃費マネージャーを購入したお店に取り付けを相談、依頼してみてほしい。

 ちなみに補正作業前の表示データは正確ではないと分かっていても、目の前にあるのだから、ついつい燃費マネージャーの表示を見てしまう。そして燃費の推移などに注目した結果、驚いたことに燃費が向上しているのだ! もっとも春に向かって気温も上昇し、ポニョ嫁の必殺エアコン温度設定28℃も封印されつつあるので、その影響も大きい。このまま給油をして、よい燃費データを確定したいところだが、そこはそれ補正作業のため、200km以上は走らねば……。



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